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世の中には、かなりいろいろな「英語学習法」が存在し、様々な情報が氾濫しています。生徒のみなさんの中には、それについて聞いてくる人がいますので、今回は、この点について考えてみたいと思います。
英語の勉強の仕方については、たくさんの本が出版され、インターネットでもいろいろ書かれていますが、結論から先に言うと、ほとんど全部でたらめや個人的な思い込みだと考えて頂いていいと思います。また、本当に英語の勉強の仕方を知っている人もほとんどいません。信じがたいことかもしれませんが、ちょっと突っ込んで事態の真相を明らかにしましょう。
まず、世の中に英語をマスターした人がほとんどいないということです。もしたくさんいれば、正しい学習方法は誰でも知っている常識になりますが、英語をマスターした人なんて、普通、知り合いにはまずいません。「大学の英文科や英語学科を出ている人は、英語をマスターしている」と思われがちですが、マスターとまで行かなくても、先生から高い評価を受ける程度にできるようになるのは、東京外国語大学で、70人中、一人か二人ぐらいで、南山大学の英語系の学科で200人に一人か二人ぐらいです。マスターの基準を、「1.音声学的・音韻論的に正しい発音ができる。2.英語を話したり、書いたりした時に文法的に正しい。3.単語力が5万語以上ある。4.英語のニュースや映画が、ほとんど全部、正確に理解できる。5.英語の新聞、雑誌、本などが辞書なしで、ほとんど全部、正確に理解できる。6.英語で考えて英語で話したり、書いたりできる。7.英語の新聞や雑誌に載っている評論と同等レベルの文章が英語で書ける」などと定義した上で、これをクリアする人がどの程度いるかというと、さらに上の人数の10分の1以下になるのではないかと思います。と言うことは、上記の二つの大学でも10年に一人か二人しか出てこないことになります。それどころか、実際には、もっとずっと数が少ないかもしれません。
TOEICで900点以上を取った人とか、英検1級取得者ならたくさんいますが、実は、そのレベルでは英語ができるうちには入りません。大学で先生から高い評価を受けるレベルにも到達していないのです。まして、英語をマスターしたとは言えません。もちろん、英語をマスターしていても、TOEICで500点ぐらいというケースもあるので、一概には言えませんが、TOEIC900点の人や英検1級の人のほとんどは、英語が自由に使える状態からはほど遠いと言うのが真実です。実際、英語を書くと、文法的な誤りがあったり、表現力が貧弱過ぎて、全くだめなのです。「TOEICや英検というのは、英語の素人のための英語のテストに過ぎず、しかも、かなり不完全な測定方法である」と理解して下さい。TOEICで950点以上を取ったと言うことで、英語の学習法について本を書いている人がよくいますが、実際には大して英語ができないかもしれないということです。
問題は、英語のできる人の数が少ないということだけでなく、英語をマスターした人に、平均的な能力の人が極めて少なく、知能が非常に高い人や特殊な能力を持っている人が大半を占めているということです。東京外国語大学の出身者(中途退学者)で、たくさんの言語を驚異的な速度でマスターした人が過去にいます。その人は、「英語の勉強を始めて6か月たっても英字新聞が読めない様では、英語のマスターはあり得ない」という趣旨のことを本に書いていますが、その人の場合、小学校から中学校まで通知表の成績がほとんど全科目「5」だった様なので、高い知能の持ち主だと考えられます。恐らく、それに加えて、何らかの特殊能力があったのではないかとも思われます。普通の能力の人が、こういう人のまねをしても、英語のマスターは、まず無理でしょう。
よく見かける特殊能力には単語の丸暗記の能力があります。「5000語や6000語なら、すぐに暗記できます」という人が時々いるのです。こういう人は、学習方法が間違っていても、これに加えて知能が高ければ、英語のテストでかなり高い得点が取れますが、こういうのは特殊能力で、普通の人間には無理です。しかし、入試や英検、TOEICの様な英語のテストでは、短期間でよい成績を取ってしまうので、「1日30分英語の勉強をすれば、1年後には、TOEICで900点以上になる」などとよく言っています。全くまぎらわしい人たちですが、特殊な能力を持っているだけの話なので、無視して下さい。こういう人たちは、「TOEICで900点以上を取ったり、英検1級を取るのは、簡単ですが、その後は、なかなか英語力が進歩しません。だから、英語の本格的な勉強は、TOEICで900点以上を取ったり、英検1級を取った後に始まると言え、英語の習得は本当に難しいと思います」と言う趣旨のことをよく言っています。要は、英語の勉強になっていないわけです。普通の人で、英語をマスターする軌道に乗っている場合、TOEICで800〜900点ぐらいを取るまでが大変な苦労で、その後が楽なのです。上記の様な単語暗記の特殊能力者の場合は、英語をマスターする道を歩んでなさそうなので、たぶん、日本語が邪魔をして、永久に英語をマスターできないでしょう。
もう一つの特殊な人たちは、日本語を通して英語を学んだのに、英語が相当にできるようになった人たちです。この人たちは、英語で考えて、英語を話したり、書いたりできるのですが、恐らく、日本語を通して英語を学習しても、日本語と英語が分離するという特殊能力の持ち主ではないかと考えられます。日本人で、昔、英語ができるようになった人は、このタイプの特殊能力を持っている人たちではないかと思われます。普通、日本語を通して英語を学習したら、常に日本語を通して英語を理解したり、話したり、書いたりするようになるので、絶対に英語ができるようになりません。そういう学習をすると、日本語と英語を結合させた神経回路が脳の中にできあがって、脳細胞が死ぬまでなくならないので、一生、英語ができるようにならないのです。決してまねをしてはいけません。
言うまでもなく、幼少時から10年以上も英語国に住んで英語を習得した様な人たちは、学習環境が全く異なるので参考になりません。そこで、参考にすべき英語学習者というのは、「平均的な知能を持ち、特殊能力がなく、日本にずっと住みながら、英語をマスターした人」ということになります。こういう人は、ものすごく数が少ないと思いますが、これに加えて、自分の学習方法を実験してみるということが必要になります。例えば、他の外国語でも通用するのか、他の人でも通用するのかと言ったことを実験してみないといけません。しかし、この様な学習方法の実験には1回当たり数年はかかります。さらに、英語学習や英語教育は科学的な研究が進んでいるので、そういう研究と照らし合わせて、矛盾がないかどうかのチェックも必要です。そうすると、応用言語学も学ばないといけません。
これだけのことをやった人は、世の中にはまずいないでしょう。手前味噌になりますが、たぶん、私一人だけかもしれません。よく英語以外の教科の学習方法も聞かれますが、上で論じた基準をよく念頭に置いて考えて下さい。学校の成績が平均「4」以上もあるような知能の非常に高い人や特殊能力を持った人を参考にしてはいけません。学校の成績が「3」ぐらいで、特殊な能力もなく、一流大学に合格したような人を参考にして下さい。もっとも、これも私だけかもしれませんが・・・。
(2002年9月29日)