How I Learned English

私の歩んだ道


英語学習の発端

私は、元々は、自然科学の好きな子供でしたが、中3の夏休みの終わりに、突然、英語に関心を持ったのが英語学習の始まりです。

その日は、朝からなま暖かい風が吹き、何となく変な予感がして・・・というわけではありませんが、ふと見ると、本立てにNHKのラジオの英語講座のテキストがあったのです。それは、何年も前に人からもらったもので、中を開けずにずっとそこに突っ込んであったのです。

当然、黄色になっていました。(^ ^;;;

ところが、そのテキストに書いてある時間にラジオをつけると、英語が耳に飛び込んできて、驚いたのです。何を驚いたかというと、英語が人間の話す言葉だということに驚いたのです。

以来、NHKのラジオ講座を聴くのが日課になりましたが、英語はあまりできるようになりませんでした。(^ ^;;;

参考までに、学校の成績は、5段階評定(相対評価)で、「3」でした。

高校入学後、図書館に行って、英語学習に関する本を探し、手当たり次第に読みあさりました。いろいろな人がいろいろな学習方法を唱えていて、どれが正しい学習方法なのか迷いました。そこで、それらを参考にして、自分なりの学習方法を模索して行きました。しかし、なぜか英語ではなく、イタリア語に関心を持ち、イタリア語の勉強が中心になりました。


イタリア語の道へ

イタリア語の勉強は、いわゆる文法翻訳法という方法で勉強しました。もっとも、当時は、私も大半の子供と同じく、外国語の学習方法や外国語教授法のことは何も知りませんでしたので、自分のやっている学習が文法翻訳法であることはもちろん、その結果がどうなるかも知りませんでした。

文法書を読み、基本単語を暗記して、イタリア語の文章を日本語訳したり、日本語をイタリア語に訳すという勉強をしましたが、二つの大きな問題に直面しました。

まず、単語が記憶できない。

単語のリストが文法書に載せてありましたが、これが全然覚えられない。そこで、単語カードを使って、繰り返し練習しましたが、それでも覚えられない。毎日2時間から数時間、夢中になって勉強していましたが、5個か10個ぐらいの単語しか覚えられないのです。

次の問題点は、文法書を読み、単語の訳を調べても、イタリア語の意味がわかるようにならないこと。

私の取った勉強方法は、学校で行われている英語の教え方と大体同じでしたが、英語以外の言語で試したところ、英語と同じ結果になりました。つまり、全然できるようにならなかったということです。

その後、高校2年の時、カセット・テープ付きのイタリア語の文法書が新しく出版されたので、それを使って勉強してみましたが、その結果、少しはましになりました。単語がかなり習得され、ちょっとはイタリア語がわかるようになりました。しかし、マスターにはほど遠く、やっと最初の一歩を踏み出したところという感じでした。とは言え、この経験で、「外国語の学習には、音声が必要である」と言うことがはっきりわかりました。


多言語の学習へ

イタリア語の勉強を始めて半年以上が経過し、高校2年生になった時、イタリア語以外の言語も勉強しようと、スペイン語やロシア語なども勉強を始めました。この二つの言語は、NHKのラジオ講座があったので、それを利用して学習しました。当時、NHKの講座は、担当講師により授業の内容や教え方が異なっていましたが、スペイン語講座は、文法の説明を学びながら、それを例文で学習する方式でした。一方、ロシア語講座は、文法の説明を学びながら、それを数行から10行程度の長さの会話文で学習するという方法でした。どちらも、ある程度、効果がありましたが、ロシア語は、9月から、講師が変わり、一転して、完全な文法翻訳法になり、一挙にわけが分からなくなりました。

ロシア語は動詞の変化が複雑なのですが、テキスト一面、動詞の変化表になったという感じで、これで、せっかく覚えかけていたロシア語が全くだめになりました。

スペイン語もロシア語もそうですが、高校2年の秋頃、イタリア語の学習が限界に突き当たり始めました。どの言語も極めて初歩的なレベルまでは学習できたのですが、それから先が見えない状態になりました。つまり、初歩レベルから先は、これらの言語には、学習の道具になるテキスト類がなかったのです。特に、一番真剣に勉強していたイタリア語には、そういったものが日本国内には見つからず、どうしても、英語圏など海外で出版されたテキストを用いなくては、先に進めないことが明らかでした。


英語学習への復帰

その間、英語の学習はどうなっていたかというと、NHKのラジオ講座は、あまり効果がないので、高校1年生の夏頃までにやめてしまっていました。代わりに、ラジオの国際放送(短波放送)で英語の放送を毎日聞いていました。その他、NHKでやっていたセサミ・ストリートも毎回見ていました。しかし、学校の成績は、実力テストで、クラスで下から2番目、学年300人中、280位ぐらいでした。

私の場合、特に変わっていることと言えば、英語に関心を持つ以前の中学1年の時から、いつもレコードで英語を聞いていたことと、辞書の裏に載っている発音の説明をよく読んで、発音の練習を一生懸命していたことでしょう。最初に「英語の勉強は、そうやってやる」ということをどこかで読んで、そのまま実行していただけなのですが、今思うと、これは大変よかったと思います。

そう言う状況にある中、英語の学習を本格的に始めたのは、高校2年の秋だったのですが、それまでに蓄積した外国語学習のノウハウを元に、最も効果が高いと思われる学習方法を考案して、英語の学習に当たりました。

その際の基本原理は、今振り返ると、直接教授法と言われるものです。詳しくは、このホームページのQ&Aを見て頂ければ、いいのですが、辞書もすぐに英英辞典に変え、日本語に訳さずに英語を直接理解する学習を行って行きました。それまで英語を聞いた量が多く、その際は、当然、英語を英語のまま理解していたので、それが原因ではないかと思われますが、英語を直接理解する学習は、あまり抵抗感なく、実行できました。


あっと言う間に全国トップ・レベルへ

英語の勉強を本格的に始めて、約3か月で、事実上、実力テストで学年1位になりました。正確に言うと、体調不良で試験を半分受けて、退席したのですが、半分しかやっていないのに、学年順位が10位でしたので、たぶん、全部やっていると、1位だったと思います。さらに、それから3か月ぐらいで、全国模試で全国順位が30位ぐらいになりました。学習時間は、自宅で1日3時間から5時間ぐらいでした。

しかし、あいにく、当時、体が弱いのに無理したため、すぐに病気になり、失明に至りました。その後、1か月ほどで視力は回復しましたが、しばらくして、また失明し、いつも失明だけでなく、その度に高熱にやられましたので、頭がまともに働かず、勉強どころではない状態でした。2度目の失明から、半分ぐらい回復した時が、ちょうど入試の時期でした。

志望校は、東京外国語大学の英米語学科でしたが、やはり、最初の年の受験は無理があり、かろうじて合格した南山大学の英米科に入学しました。その後、せっかく勉強したからと思って、もう一度、翌年、東京外国語大学を受験したところ、今度は合格しました。

英語の勉強をするに当たって、入試のことなどどうでもいいのですが、実用的な英語を勉強すると入試が心配だという人が少なくないので、参考にして下さい。


英語のマスターへ

東京外国語大学に入学してから、応用言語学に出会い、英語教育や英語学習について専門知識を得ることができ、自分のやってきた学習が直接教授法に該当する方法であることと、自分が外国語の習得に苦労した時の学習方法が文法翻訳法に該当することを知りました。

問題は、いろいろな学習上の要因(学校の授業など)により、直接教授法ではない部分が混じり込んでいることでした。そこで、そういうのを全部排除して、限りなく純粋に直接教授法に近づけて学習してみたところ、さらに英語力がどんどん向上して行きました。私自身は、なかなか進歩しないと思っていましたが、先生方の目で見ると、学習速度は非常に速く、驚いていました。

東京外国語大学の3年生の始めまでに、英語で書かれた専門書や小説、TIMEなどの英文雑誌が辞書なしで極めて正確に読めるようになりました。また、会話も流ちょうになり、加えて、発音も音声学的に正しくなり、英米人の発音と大体同じなりました。英語を書く能力の方は、入学時から間違えることなく正しい英文が書けましたが、さらに文章力のレベルが上がったと思います。単語力は、調べたところ、5万語から7万5千語程度になっていました。以上は、自分が外国語をマスターしたと言える判断基準だったのですが、それに到達したので、大学3年生のはじめで英語の正式な学習を終了しました。

「英語学科や英文科の学生は、全員、そういう具合に英語をマスターするものだ」と世間では思われがちですが、東京外国語大学の英米科では、英語が本当にできるようになる人は、入学者70人(当時)中、1人か2人です。世の中には、英語が本当にできる人は、極めて少ないのです。

その後は、エネルギーを学問に集中し、今日に至りますが、自分が実行した直接教授法が、どの程度、普遍性を持つのか知りたかったので、ちょうど大学院の受験に必要だったドイツ語の学習に直接教授法を用いてみました。その結果、ドイツ語の力は、大学院に合格するレベルまで到達させることができましたが、同時に、最初から純粋に直接教授法でやる方がメリットが高いものの、直接教授法を実行するには、教師とよい教材が絶対に必要だということがわかりました。私の場合、全部独学でやりましたが、これは、実際には、ほとんど実行不可能なことでした。大学院の入試に合格するレベルにはなりましたが、恐らく、実際に自由に使えるようになるには、先生について習わないと、とんでもなく時間がかかると思われます。よく直接教授法で独習する方法を聞かれますが、答は、「ありません」と言うことになります。

いずれにせよ、今まで、イタリア語から古代ギリシア語まで合計8カ国語学びましたが、いろいろな外国語で、いろいろな学習方法や教授法を試したのは、教授法を考える上で、非常に参考になりました。やはり、一カ国語だけの経験では、勝手な思いこみに陥りやすいものです。教授法や学習法を考えるには、多数の言語を学習してみる必要があると思います。もちろん、それだけでなく、最終的には、いろいろな生徒に適用してみて、データを取り、客観的に分析してみないとだめです。英語の学習方法や教授法の問題は、こうしてあらゆる角度から研究して、はじめて答の出る問題だと思います。


現状

その後も、英語力は着実に伸びていて、5年前と比較すると、いつも明らかに5年前よりも英語力が高くなっています。ある英語学者が、「自分の英語力は30歳でピークに達し、それ以後は、向上していない」と言っていますので、自分の取った学習方法は、少なくともその人よりも効果的だったと思われます。


Next...you are going to see some biographical data about me, but...

You don't want to know!
What is your answer?
That's right.
Never mind.